KTSK(傾聴に取り組む宗教者の会)

被災地での活動報告や告知など。
一見さんの参加も歓迎。
「何かしたかったけど、何をしていいか分からない」
「きっかけがほしかった」
「どこにつながればいいか分からなかった」
そんな想いをお持ちの僧侶、宗教者、一般の方、一緒に活動しませんか?
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【報告】2016年11月(第73回@女川)傾聴仏具配付訪問
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    【報告】2016年11月(第73回@女川)傾聴仏具配付訪問
    ●日時:11月22日(火)
    ●参加者:村田ますみ、太田宏人(曹洞宗)、三宅大哲(曹洞宗、法要参加、法要導師)
    ●訪問先:女川町民が暮らす仮設住宅(指ヶ浜:閉鎖、清水1、清水2)、大川小学校(追悼)、小乗漁港堤防(追悼)

    「KTSK活動に参加して」
    2016年11月22日 村田ますみ

     傾聴に取組む宗教者の会(KTSK)の活動に参加させていただくのは今回が2回目。代表の太田さんにお声掛けいただき、前回から実に1年10ヶ月ぶりに女川に同行させていただくことになった。
     当初、11月21日の予定だったが、その日に海洋散骨の施行が入り、込み入った案件だったので私が乗船しなければならず、今回は諦めると太田さんに伝えたところ、22日に変更してくれるとのことで活動参加が決定した。
     今回は太田さんと私の二人の参加で、前回も確かそれほど多くない人数での活動であり、正直なところKTSKにどんな人がどれ位の人数関わっているのかよく知らなかったが、ちょうど出かける数日前に、メーリングリストとメッセンジャーで、hasunohaという宗教者による活動組織からKTSKに寄付の話があり、それを受けるか受けないかということで議論が盛り上がったところから、KTSKに参加している人が(私の面識のない方も含め)意外といらっしゃることを実感した。宗教者が中心だが(私のように)そうでない人もいて、宗教者もそうでない人も、ひとつの物事に対する考え方捉え方は千差万別で、正解などなく(発言のすべてが正解だと思った)、改めて多様性をそのまま否定も肯定もせず受け入れて他者の考えから学ぶ姿勢が大切だなぁ、、、などと考えながら、22日の当日を迎えた。

     雨の中東京駅に向かい、朝6時5分発の東北新幹線の始発に早めに乗り込み、キオスクで買ったサンドイッチを食べ終わったころ、車内の電気が消えて、その直後にガタガタと大きな揺れを感じた。ホームに目を移すと駅名の看板が大きく揺れている。しばらくすると、車内アナウンスで「ただいま福島を震源とする地震発生により車内停電しております。安全確認をおこなっていますので今しばらくお待ちください」とのこと。一斉に電話やネットに繋ごうとするが、繋がらず、暗闇の中で車内アナウンスだけを頼りに過ごした。何度か電話をかけて太田さんと連絡がつき、2つ前の車両から太田さんが現れる。KTSKのメンバーから「危険なので見合わせてください」というようなメッセージも来ているが、新幹線が動くならむしろこういう時だからこそいくべきではないか、お互い自己責任で慎重に行動しよう、と確認した。

     45分遅れて新幹線は発車。しばらくするとネットにも繋がり、宮城県に津波警報が出ていることなどの情報が入ってきた。仙台駅につくと、何事もなかったかのような日常的な風景が広がっていた。在来線は全てストップしているとのことだったが、一見して混乱などは見られなかった。レンタカーを借りてカーラジオをつけると「いますぐ高台に避難してください」というアナウンスや県内各地の地震津波情報などが繰り返されているが、三陸道を走り、目の前に広がるポカポカとした陽気と長閑な風景に、なかなか災害のリアリティを感じない。

     北上川沿いを走るのは避けて、一つ前の出口で高速を降りて女川に到着。照源寺さんと聖花園さんにお線香を受け取りに立ち寄り太田さんが状況をヒアリングするが、現地の方々の冷静な受け答えにこちらの緊張感が溶ける。ここでもSNSやメディアでの騒ぎと現地の反応のギャップを感じた。

    沿岸の水産加工会社などは避難して自宅待機しているとのこと。町内2箇所の避難所と、今日聖花園さんでお葬式のあるお家が指ケ浜にあるという情報を伺い、その付近の仮設住宅に向かう。この頃には、警報は注意報に代わり、海も穏やかに見えた。

     二人で今の気持ちをシェアしたあとに、最初に向かった指ケ浜の仮設住宅は、人が住んでいなかった。足場を組んでいる作業員の人たちが居たので聞くと、ここはもう誰も住んでいなくてこれから解体するとのこと。津波警報で避難しなかったんですか?と聞いたら、注意報に変わったので、先ほど仕事を始めたとのこと。その先の高台に1軒家があり、今日のお葬式のお家かと思って伺うが、留守で違うようだった。

     太田さんに「行きたいところはありますか?」と聞かれ、前回も連れて行っていただいた大川小学校にお参りに行きたいと伝える。帰りに一人で立ち寄るという選択肢もあるが、私はお経が読めないので、と同行していただいた。

     大川小学校までは30分の道のり。紅葉しはじめた山々と蒼い海の絶景が本当に綺麗で心を奪われる。天気予報では雨だったのに、暖かいくらい晴れわたっている。途中、川の近くが水浸しになっている箇所があり、津波で川が逆流したのか?とも話したが、おそらく昨日の雨の残りではないかと結論づけた。

     正午少し前に大川小学校に到着。澄み切った空気と広野にシンボルのように残る生々しい建物、そして裏山。町内放送で「津波警報は津波注意報に変わりました。引き続き警戒してください」というような案内が流れている。

     太田さんが般若心経をお唱え下さっている間、私も小さく一緒に唱えた。たくさん供えられているお花に、ミツバチがたくさん集まってきていて、そのハチ達が、なんとなく、小学校で遊んでいた子供たちに見えた。

     女川に戻り、病院の先にある喫茶店でカレーをいただく。本当は、ゆめハウスに行きたかったが、何度電話しても出ない。やはり今朝の津波警報で休みなのかもしれない。店内にいる人たちの携帯が一斉に鳴って、全ての警報と注意報が解除になったと知らせてくれた。お店の人は、「沿岸にはもう人は住んでいないので、大きな心配はない」というようなことを言っていた。とにかく、津波が来るのでは?という緊張感からはやっと解放された。

     午後は、清水の仮設住宅で活動することにする。途中で野球場の中に出来た3階建の仮設住宅を見学。仮設といっても新築のアパートのようだった。でも、周りが観覧席に囲まれている敷地は、やはり体育館の避難所のように住処としては落ち着かない印象を持った。今後、仮設住宅はこちらに集約していくらしい。

     清水仮設住宅で、太田さんと別れ、16時15分までそれぞれ別の棟をまわって活動することになった。
     ちょうど、イオンの移動販売車が仮設の入り口に来ており、買い物に出てくる人たちがいたので、一人一人にお線香を渡すところから活動開始。
    端っこから、とにかく1軒ずつ呼び鈴を鳴らす。
     最初のお宅は、明るい感じの親子。「今朝、けっこう揺れましたけど」と切り出すと「揺れたねー、怖いから逃げた!」「どこに逃げたんですか?」「体育館に」お線香を渡して、しばらく立ち話。「忘れずに来てくれてありがとう!」と言ってくださった。

     2軒目は、鼻に酸素チューブを入れている高齢者。今朝は揺れたけど逃げなかったとのこと。仏さんにお線香、とお渡しして、「これは毎朝の俺の仕事だ」と仰ったので、「仏様にご挨拶させていただいて良いですか?」と言って上がらせてもらう。お線香を挙げたあと、しばらくお話していると、先ほどイオン販売車でお線香を手渡しした、連れ合いの方が帰ってくる。「もうね、5年もここにいて、気晴らしもないし、飽きたよ。この人(お爺さん)とはイライラしてしょっちゅうぶつかるし」と愚痴をこぼされる。それでも来年の春に、復興住宅への移転が決まっているとのこと。

     そこから数軒、玄関先でお線香を渡した。
     呼び鈴を鳴らして出てくるまで時間のかかる足の悪い高齢者がいた。片耳に補聴器をつけていた。今朝のことを聞くと、関東に住む子どもたちが心配して電話をくれた、とのこと。とくに避難はしなかったそう。集会所でも色々な催しがあって、近所の人が誘ってくれたりするんだけど、なかなか出て行くのがおっくうで、、、とのこと。

     津波騒ぎで、仕事が休みになって家にいる若い人もいた。
     若い人で、玄関先に出てきて「うちは、そういうのは良いんで」と断る人もいた。
     小学校の給食を作っているという少し若い方と玄関先で長話をした。今朝は、家族と二人で避難所に逃げたとこのこと。聞いて回った限り、逃げた人と逃げなかった人は半々くらい。高齢者の方は、ほとんど避難した人はいなかった。
     8時過ぎに、職場の小学校から今日は休校と電話があり、家にいらっしゃった。
     午前中に、大川小学校に行ってきた話をしたところから、学校で働く身としてのお考えをお聞かせいただいた。5年前の地震は普通ではなかったという話、ご親族が津波に呑まれて亡くなったときの状況、炊き出しをしている時に、自衛隊の人に「頑張ってください」と言われて涙ながらに怒りをぶつけたこと、そして今の職場で、子供達はぜいたくを言って給食を食べない子がいる、などなど。この方はご自身の体験から達観したのか、最後の方は少し哲学的なお話もされていた。

     すべての学校と保育園が休校になったので、子供達の姿もちらほら見えた。
     震災の年に生まれた子が、もう小学校に入るんだよ、という話を聞いて、それより小さい子達は震災後に生まれたのか、という目で遊んでいる子供達を見た。確実に新しい命、新しい世代が生まれてきている。
     学校も、塾も、行き帰りはバスのお迎えが来るようになっており、子供達が運動不足になっているという声も聞いた。

     15時を過ぎて訪問したお宅で、「上がってお茶飲んでく?」と言われて少し長居をしてしまった。干し柿や沢庵やお菓子やおにぎり、自分で用意したものは一つもなく、全部、仮設住宅の近所の方からのおすそ分けとのこと。おすそ分けのご相伴をいただいたお礼にお線香を皆さんに渡して宜しくお伝えください、と多めにお線香を渡した。
     年に1回、和尚さんが来るけど、なかなかこうして上げられないのよ、とのこと。この方も来年の春に引っ越しが決まったそうで、引っ越したらまず仏壇を買うとおっしゃっていた。引っ越したらまず仏壇、というのは、他のお宅でも同じセリフを聞いた。皆さん、先祖の御位牌を本当に大切にしている。ここでも5年前の津波の時のリアルなお話をお聞かせいただいた。そそり立つ黒い壁がこちらに迫ってくる。戦争の記憶とおなじくらい脳裏に焼きついているとのこと。でもこうして、全国や外国からも支援をいただいて本当に有難いこと、と仰っていた。

     以前は海沿いの大きなお家に住んでいたそうで、住環境への不満はお持ちだった。未婚の子どもと同居だが、喧嘩しても逃げ場がないとのこと。でも人間、5年も経つと慣れるものねぇ、とおっしゃっていた。この方は、今朝の地震で一度起きたが、また寝たとのこと。来年引っ越しが決まっているが、また慣れるかしら?と笑っていた。これから大根で料理つくるのよ、今度は晩御飯たべに来てね、と言われた。

     また数軒、お線香を配っていた後で、縁側に座っている女性に「だいぶ配りおえた?」と声をかけられた。イオン販売車で一番最初にお線香を渡した女性だった。
     ずいぶん空き家も増えてきたでしょ?とのこと。でもね、みんな引っ越していくんだけど、ここの居心地がよくって、けっこう戻ってくるのよ、集会所での催し物なんて、仮設に住んでいない人が参加していることが多いわよ。とのこと。この清水地区の自治会についての話や、家族の話など色々と聞いていると、畑にいくという女性が通りかかる。自主的に植えた大根やイチゴの苗があるが、川の護岸工事がはじまるため撤去しなければならないとのこと。イチゴの苗もっていく?と言われたが、丁寧にお断りした。
     この縁側の女性がどうやらここのコミュニティのキーパーソンだと思い、残りのお線香を、自治会長さんと、お母さんが必要そうな人に渡して、と託した。お墓まいり用の着火しやすいお線香が欲しいけどどこにも売ってなくて、という声があり、聖花園さんで求めることができますよ、とお伝えした。

     個別の活動を終えて、16時半に太田さん、そして照源寺の三宅さんと合流し、浜に突き出た堤防の先で最後の法要をおこなった。

    振り返りのシェアタイムでは、緊張感のある1日だったけど、何事もなく良かったというのが3人共通の感想だったと思う。

     活動を終えて、色々な想いが去来するが、少なくとも仮設住宅が存在する限りは、継続して訪問する意義はあり、私も年に1回くらいは今後も参加していきたいと思った。
     今回、久しぶりに声をかけて下さった太田さんとの道中の会話から、学びや気づきもあり、忘れられない1日となった。個人的なことだが、11月22日は亡き母の誕生日でもあり、日常から少したち戻る1日でもあった。このような経験や出会いをもたらして下さったすべてのご縁に感謝したい。
    有難うございました。
    ==========
    ☆今後の予定☆
    ※女川
    12/30
    1/28
    ※熊本
    12月2日
    1月27日

    行ける人が行けるときに。
    生きるための祈りを支えたい。
    「こんにちは」の挨拶を届けたい
    「世界全体」を救えなくても、
    「ひとり」のそばに。 KTSK



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